2008年01月10日

第11回 千登世橋から雑司が谷旧宣教師館へ

※この日に歩いた道の地図はこちら↓
http://tinyurl.com/2gede8

千登世橋を目白方面へ歩くとすぐ左手に「海外絵本とカフェの店 Ehon House」がある。1984年から洋書絵本を中心に輸入・卸販売を行っている株式会社 絵本の家の直営店。
広く明るい店内にはカフェスペースが併設され、海外絵本に登場するキャラクターグッズも扱っている。店の前は日本女子大学の学生がたくさん行き来していて、いつ覗いても子供よりも大人の客の方が多い印象だ。かくいう私も一度入ると楽しくてなかなか出てこられない。
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▲Ehon Houseの店頭

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▲ショーウィンドウ

◎Ehon Houseホームページ
http://www5a.biglobe.ne.jp/ehonnoie/

立体交差の千登世橋を下へ降りて、明治通りを池袋方面へ。3分ほどで古書往来座に着く。年明け早々(1月5〜6日)から「外市」を開催。2007年2月からほぼ2ヶ月に1度の割で開催しているイベントで、今回で第6回目を迎えた。出店している自分が言うのも何だが、外市は回を重ねるごとに“市”としての面白さが確実に増している。古本好きばかりでなく、通りがかりの人が足を留めずにいられないような雰囲気。端から端まで見ればなにか掘り出しものが見つかるかも、という期待感。そういうものを裏切ることがないよう、2年目も盛り上げていきたいと思っている。

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▲外市全景

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▲本だけじゃないのです

◎古書往来座ホームページ
http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/

にぎやかな外市会場から「大鳥神社参道」と大きな看板を掲げたわき道へ。昭和の初め頃まで、この道に沿って弦巻川(現在は暗渠)が流れていたことから、弦巻通りと呼ばれている道だ。昨年完成したばかりの東京音楽大学のモダンな新校舎を眺めながら5分ほど歩くと、右手に大鳥神社がある。ここで初詣。境内に大きな茅輪が据えられており、本来は6月と12月にくぐるものなのだが、縁起ものなので指示通りくぐっておく。

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▲大鳥神社

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▲茅輪神事の説明

都電荒川線の踏切を越えてさらに弦巻通りを進んでいくと、「雑司が谷商友会」という商店街が見えてくる。どの駅からも遠く、住宅街の真ん中に突然現れる小さな商店街だが、お年寄りが多く住み、大型スーパーやコンビニが極端に少ない雑司が谷では、なくてはならない店ばかりなのだ。いなりずしにおでん、焼きたての食パン、かきあげ、八百屋の店先で漬けているたくあん、煮豆の量り売り。昔ほどの活気はないにせよ、この商店街を歩くと自分の子供時代(昭和40年代)の匂いがする。

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▲雑二ストアー

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▲小沢靴店

フライデー(金曜日)に揚げ物の特売を行うお肉屋さんの先に銭湯・高砂湯がある。一昨年に東京音楽大学のそばにあった富士の湯が廃業し、雑司が谷界隈では唯一の銭湯となってしまった。そのため、遠くから毎日自転車で通うお年寄りもいる。お湯の温度は熱め。好みです。高砂湯の向かいに廃業した美容室があるのだが、店名が「ホット美容室」なのが泣かせる。

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▲高砂湯

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▲ホット美容室(廃業)

高砂湯の隣りは知る人ぞ知る、鉄板焼きせんべいの小倉屋。赤いテント看板が目印。が、店舗はなく、脇の路地にある工場の中で小売りをしている。一口サイズのせんべいには色々な味と形があり、20種類ぐらいはあるだろうか、どれを食べてもハズレがない。私が特に好きなのは「焼おにぎり」「チーズ」「わさび」。一番人気は「あまから」とのこと。遠方からわざわざ買いに来る人も多いようだ。1袋200円〜。

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▲小倉屋(工場)

◎雑司が谷Pick Up >> 小倉屋製菓
http://www.bunny.co.jp/zousi/shop/03.11_1oguraya.html

小倉屋のせんべいをつまみながらさらに弦巻通りを進む。日本女子大の学生寮、同体育館を通過すると、左手に粋な黒塀が見えてくる。山窩(サンカ)小説家、サンカ研究家として知られた三角寛(みすみ・かん)の旧邸である。昭和10年当時、親交のあった菊池寛の紹介を受けてここに住んだという。菊池寛の旧邸だと勘違いしている人がたまにいる。三角寛については漠然とエキセントリックな人というイメージを持っているだけで、ちょっと勉強しなくてはと思っていて、『サンカと三角寛―消えた漂白民をめぐる謎』(礫川全次/平凡社新書)『人世坐大騒動顛末記』(三角寛サンカ選集 第十五巻/現代書館)、『人生坐三十五年史』(三浦大四郎編/人生坐)、『父・三角寛―サンカ小説家の素顔』(三浦寛子/現代書館)などを手元に置き、拾い読み中。

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▲料亭「寛」

◎雑司が谷 寛 ホームページ
http://www.okamijuku.com/kan/

さて三角寛を気に入っていたと思われる菊池寛は、三角寛の家から数十メートル先のご近所に住んでいた。現在は大きなマンションとなっているが、玄関口に東京都豊島区教育委員会による碑が建っている。1998年初め頃まで「菊池寛記念室」として書斎などが公開されていたが、現在は休館中。ご子息は現在もお住まいとのこと。

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▲菊池寛旧宅跡

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▲旧宅跡の碑

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▲(拡大)

少し戻って、八百屋のわき道へ。弦巻通りから雑司ヶ谷霊園へ行くにはどの道も登り坂である。料亭寛の裏あたりの斜面は比較的古い民家がたくさん残っている地域で、銅張りの看板建築の長屋や、大正期〜昭和初期に建てられたと思しき木造家屋、土蔵のある家などを見ることができる。道は細く迷路のようで、階段が多い。そぞろ歩きにおすすめの地域だ。

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▲雑司が谷1丁目の路地

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▲風情ある木造家屋

雑司ヶ谷幼稚園の横、レンガ敷きの遊歩道を進んで行くと、白い板壁に緑の縁取りを施した洋館、雑司が谷旧宣教師館(旧マッケーレブ邸)に辿り着く。明治40年に建てられた豊島区最古の木造建築で、東京都有形文化財に指定されている。アメリカの代表的なコロニアルスタイルの建物だが、日本人の大工さんが建てたため、天井に割竹が使われていたり、ところどころ和風になっているのが面白い。見学は無料。詩人・小森香子さんによる、児童雑誌『赤い鳥』に掲載された小川未明や坪田譲治、新美南吉らの作品の読み聞かせ会を定期的に行っている。

「おばあちゃんのお話し会」
  毎月第1土曜日 14:00〜15:00
  会場:雑司が谷旧宣教師館本館「赤い鳥コーナー」
  申込不要 参加費無料(当日直接会場へお越しください)

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▲旧宣教師館

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▲庭から建物を眺める

旧宣教師館のすぐ前は雑司ヶ谷霊園。眠るは夏目漱石、竹久夢二、永井荷風……次回は苔掃趣味に走ります。お楽しみに。

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